ファブリー病はライソゾーム病の1つです
ライソゾーム病とは
細胞内には、ライソゾームと呼ばれる小器官があります。
ライソゾームには、細胞内で不要になった老廃物を集めて、さまざまな種類の酵素で代謝・分解し、細胞外に出す働きがあります。
ライソゾームの働き

生まれつき遺伝子に変異があると、ライソゾームの中で特定の酵素が不足あるいは働きが低下することによって、代謝が正常に行われず、身体のさまざまなところに問題が生じることがあります。このような病気を総称して、ライソゾーム病と呼んでいます。
現在、50種類以上のライソゾーム病が知られており、そのうちファブリー病は、厚生労働省の小児慢性特定疾病1)、指定難病2)に認定されています。
1)小児慢性特定疾病情報センター 先天代謝異常の疾患一覧
https://www.shouman.jp/disease/search/group/list/08/先天性代謝異常
2)厚生労働省 平成27年1月1日施行の指定難病(告示番号1~110)
ファブリー病とは
ファブリー病は、ライソゾーム病の1つで、α-ガラクトシダーゼAという酵素が不足あるいは働きが弱くなる病気です。
α-ガラクトシダーゼAは、グロボトリアオシルセラミド(GL-3)という糖脂質を分解する働きを持っています。
ファブリー病では、GL-3が分解されず過剰に蓄積するため、全身にさまざまな症状があらわれます。

ファブリー病は遺伝性の疾患です
性別を決める染色体にはX染色体とY染色体があります。ファブリー病の発症にかかわるα-ガラクトシダーゼAを作る遺伝情報は、性別を決める染色体のひとつであるX染色体の中にあり、遺伝性の疾患です。
X染色体とY染色体
性染色体は父親と母親から1本ずつ受け取ります。男性は母親から1本のX染色体と父親から1本のY染色体を、女性は母親と父親からそれぞれ1本のX染色体を受け取ります。
つまり、男性は母親から1本、女性は母親と父親から1本ずつあわせて2本のX染色体を受け取ります。

ファブリー病はX連鎖性遺伝子疾患
男性の場合には、X染色体を1本しか持たないために、ファブリー病の変異遺伝子を持っていると発症します。
女性の場合には、X染色体を2本持つため、ファブリー病の変異遺伝子があっても、正常な遺伝子があれば補われる場合もあります。そのため、女性の場合は、症状がでるかどうかはさまざまです。
ファブリー病の遺伝
