Q:バイオ医薬品とはどのようなものでしょうか?
バイオ医薬品とは、遺伝子組み換えや細胞培養技術を利用して開発・製造された、主にタンパク質を有効成分とする医薬品です。
ファブリー病治療での酵素補充療法のように、体の中で作られるタンパク質を補うものと、病気の発症にかかわる体内の反応を抑えるもの(「抗体医薬品」と呼ばれています)があります。
タンパク質は、アミノ酸がつながった形をしています。
アミノ酸は、化学合成によりある程度の数まではつなげることができますが、限界があります。バイオ医薬品は、小さいものでも30 個程度、大きいものでは2000 個以上、アミノ酸がつながっていますので、化学合成は困難です。
一方、ヒトやその他の生物を構成する「細胞」は、タンパク質を作る力を持っていて、多数のアミノ酸をつなげることができます。
作りたいタンパク質の情報を持った「遺伝子」を「細胞」に導入し、細胞の力を利用して人工的にタンパク質を作って医薬品にしたものなどバイオテクノロジーを用いて作られた医薬品がバイオ医薬品です。
バイオ医薬品の主な製造工程
1) 目的のタンパク質の情報を持った遺伝子を大腸菌・酵母・動物細胞などに導入する
2) 遺伝子を導入した細胞などを培養し、目的のタンパク質を作る
3) 目的のタンパク質のみを抽出・精製する
※培養に使用した細胞や組換え遺伝子は、この段階で基準値以下まで除去されます
4) 製剤化する
参考:バイオ医薬品ってどんなもの?(一般社団法人くすりの適正使用協議会)
Q:バイオ医薬品と従来の医薬品との違いは?
バイオ医薬品に対し、従来の医薬品は低分子医薬品と呼ばれます。
バイオ医薬品が、遺伝子組み換えや細胞培養技術を利用して開発・製造されるのに対して、低分子医薬品は化学合成で開発・製造されます。
バイオ医薬品は、従来の低分子医薬品にくらべ、分子の大きさ(分子量)が非常に大きいのが特徴です。
バイオ医薬品 | 低分子医薬品 | |
分子の大きさ(分子量) | 非常に大きい(数千~150,000程度) | 小さい(多くは500以下) |
製造方法 | 細胞などで生産 | 主に化学合成 |
剤型 | 主に注射剤 | 錠剤など多種類 |
現在、従来の低分子医薬品にタンパク質の代わりができるものはなく、バイオ医薬品と同じ働きを持たせることは困難です。
Q:バイオ医薬品は、お薬の値段が高いとききますがなぜですか?
バイオ医薬品は、化学合成によって製造する低分子医薬品のように大量生産が難しいという問題があります。また、原材料等が高価で、大規模な製造設備も必要になるため、製造原価が高くなってしまい、お薬の値段も高くなってしまいます。
医療費については、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく医療費助成制度や高額療養費制度など、自己負担を軽減する仕組みも設けられています。
Q:バイオ後続品(バイオシミラー)とはどのような医薬品ですか?
バイオ後続品(バイオシミラー)とは、すでに新医薬品として承認されている先行バイオ医薬品と同等・同質の品質、安全性、有効性を示す医薬品として、先行バイオ医薬品とは異なる会社で開発・製造されるバイオ医薬品のことです。
バイオ後続品(バイオシミラー)は、先行バイオ医薬品よりお薬の値段が安くなるため、医療費の削減が期待されます。
Q:バイオ後続品(バイオシミラー)と後発医薬品(ジェネリック医薬品)の違いは?
バイオ後続品(バイオシミラー)は、先行バイオ医薬品と同等・同質の品質、安全性、有効性を示す医薬品であるため、開発を行うには、効果や副作用などを評価する臨床試験が必要です。
臨床試験で同等・同質であると認められた製品のみが、バイオ後続品(バイオシミラー)として使用を許されます。
ジェネリック医薬品は、有効成分の構造が先発医薬品と同じ医薬品で、臨床試験は必要とされていません。
新有効成分含有医薬品 | バイオ後続品 (バイオシミラー) |
後発医薬品 (ジェネリック医薬品) |
|
定義 | 既承認医薬品および日本薬局方に定められている医薬品のいずれにも有効成分とし含有されていない成分を有効成分として含有する医薬品。 | 先行バイオ医薬品(新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品)と同等・同質の品質、安全性および有効性を有する医薬品。 | 先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり、先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品。 |
Q:先行バイオ医薬品からバイオ後続品(バイオシミラー)に切り替えてもよいのですか?
先行バイオ医薬品とバイオ後続品(バイオシミラー)との切り替えは認められています。
切り替えを希望の場合は医師または薬剤師にご相談ください